皆さん、こんにちは。富士通クラウドテクノロジーズの鮫島です。
突然ですが、今回はおもにオンプレミスで構築済の基幹システム(VMware vSphereで仮想化済)をお持ちの方を対象に、ニフクラでのハイブリッドクラウドの構築手順をご説明します。
2020年3月現在、新型コロナウイルスの感染拡大により、政府からテレワーク推奨のお達しが出たのは皆さんご存じと思います。
IT基盤としてすでにクラウドを活用されている企業ならば、昨今の働き方改革の一環として、本社以外の拠点や、出張先や自宅からの業務システム・基幹システムへの接続を想定済のケースも多いと考えられます。制度面は別にして、技術的にはテレワークへの移行ハードルは低いはずです。
メディアが報じる「●●社が全社員にテレワークを指示」といったニュースを幾度もご覧になっていると思います。
私自身「へぇ~いきなり全社員テレワークできるのか!大企業はすごいな…」と思いましたが、多くの中小・中堅企業では、全社員がすぐにテレワークを行う環境に移行するのは物理的に困難を伴うと思われます。なぜならかなりの割合でIT基盤がオンプレミス中心に構築されており、外部ネットワークからのシステム利用が困難だからです。
ここで、国産クラウドを提供する中小企業である当社が、日本の中小企業のライフラインにならないでどうする?と、大見得を切りたいのはやまやまですが、まずは既存のオンプレミス環境の中から、影響の少ないサーバーから部分的にクラウドに移行して、まずはハイブリッドクラウドの構築から始めてみてはいかがでしょうかって地味ですか?
そもそもニフクラは、VMware vSphereを技術基盤とするパブリッククラウドです。そのため、すでに社内のオンプレミス環境にVMware vSphereが導入されていれば、仮想マシン(VM)をOVFファイルとしてエクスポート、それをニフクラにインポート(VMインポート)することでそのまま従来の仮想マシンと同じ環境をクラウド上に再現することができます。 さらに、プライベートLANでオンプレミスの延長線上で利用できます。
「でも、ネットワークの設定変わるんでしょ?IPアドレスの設定ぜんぶやり直しとかブラックすぎますよ!」
とおっしゃる方が多いのは、当然と思います。
それを解決する方法をニフクラでは用意しています!
では、実際にニフクラでハイブリッドクラウドを構築する手順をご案内します。
- 1.移行対象のサーバーを選んで「OVFファイル」をエクスポート
- 2.オンプレミスと同一のネットワークアドレスでプライベートLANをニフクラ上でに作成
- 3.ニフクラの機能「VMインポート」で、OVFファイルからニフクラ上にサーバーを作成
- 4.ニフクラ上で仮想ルーター「拠点間VPNゲートウェイ」を作成
- 5.オンプレミス側のルーターを設定して、ニフクラに「L2延伸」で接続
- 6.移行対象のサーバーを削除
- クラウド移行を進めるための基礎知識
1.移行対象のサーバーを選んで「OVFファイル」をエクスポート
VMware vSphereのクライアントから移行対象のサーバーをOVFエクスポートしてください。 こちらのガイドクラウド ユーザーガイド(VMイメージの作成方法)| ニフクラも参考にしてください。
2.オンプレミスと同一のネットワークアドレスでプライベートLANをニフクラ上でに作成
ニフクラにログイン(アカウント申し込みまでの手順は省略)して、プライベートLANを作成します。コントロールパネル(管理画面)から簡単に作成できるはずです。
3.ニフクラの機能「VMインポート」で、OVFファイルからニフクラ上にサーバーを作成
さきほどエクスポートした移行対象サーバーのOVFファイルを、VMインポートを利用して読み込んでください。
4.ニフクラ上で仮想ルーター「拠点間VPNゲートウェイ」を作成
ニフクラのコントロールパネル(管理画面)から「拠点間VPNゲートウェイ」を作成します。 ※下記のブログ記事も参考にしてください。 blog.pfs.nifcloud.com
5.オンプレミス側のルーターを設定して、ニフクラに「L2延伸」で接続
オンプレミス側のルーター(物理機器のルーター)を設定してニフクラにL2延伸します。物理機器の各メーカーごとの設定方法はこちらにございます。
6.移行対象のサーバーを削除
これで、完了です。
ネットワークの設定でハマった人はこちらも参考にしてください。
www.slideshare.net
設定方法については、ニフクラデザインパターンでもご紹介しています。
なお、ニフクラでは、社内外からクラウド上に構築したシステムにセキュアにアクセスするインターネットVPNサービスをご用意しています。下記のブログ記事もご覧ください。
クラウド移行を進めるための基礎知識
多くの企業でなかなか「うちもクラウドを導入しようか!」という話にならないのは、長年使い続けてきたオンプレミスからいきなりクラウドへ移行するのはコスト面でも技術面でも高いハードルがあるからです。 ※このあたりの事情は、下記のブログ記事をご覧ください。
そこで、おすすめしたいのが段階的なクラウドへの移行であり、「リフト&シフト」といわれる方法論です。
※これも、下記のブログ記事をご覧ください。
リフト&シフトの入口は「ハイブリッドクラウド」環境への移行です。ハイブリッドクラウドがなぜ、クラウド移行の現実解か?
※しつこいですが、下記のブログ記事をご覧ください。
blog.pfs.nifcloud.com もちろん、とりあえずハイブリッドクラウドを作るだけで、全社がテレワークできる環境が整うわけではなく、情シスの皆様はさまざまな苦労が待ち受けていると思います。しかし、オンプレミスというハードウェアのライフサイクルから脱却することが、情シスの働き方改革につながるのは間違いありません。そのためには、今ならば「テレワーク」をきっかけ(口実)にしてもいいと思います。
ハイブリッドクラウドを入口にクラウド活用を進めることは、中長期的に考えて企業の価値・ビジネスの価値を高めることにつながると信じています。
ハイブリッドクラウドの具体的な導入手順やメリットを示した無料eBook『「ハイブリッドクラウド」の作り方 「2025年の崖」を超えるためのITロードマップ』を無料でダウンロードいただけますので、ご覧ください。