こんにちは。 ニフクラエンジニアミートアップ事務局の鮫島です。
2020年1月19日に、第23回ニフクラエンジニアミートアップを開催しました。
今回は毎年恒例の特別企画ということで、
新春特別座談会「2020年のクラウド業界はこうなる!」
と題して、クラウド業界の識者を集めて今年のクラウド業界のトレンド・動向を語っていただきました。
登壇者
・工藤 淳氏(アイレット株式会社:Amazon Web Servicesパートナー)
・鈴木 与一氏(NTTコミュニケーションズ株式会社)
・角 俊和氏(さくらインターネット株式会社)
・吉田 雄哉氏(日本マイクロソフト株式会社)
・五月女 雄一氏(富士通クラウドテクノロジーズ株式会社)
・宮原 徹氏(日本仮想化技術株式会社・司会)
今回も外資勢・国内勢含め主要なクラウドベンダー・インテグレーターから錚々たる 論客が揃い、熱いトークが繰り広げられました。
恒例の宮原氏による乾杯の発声で開会すると、さっそく各人のポジショントークが始まりました。
ポジショントークで前半が終わる
自己紹介+今年気になることをしゃべるというものですが、ここは百戦錬磨のエヴァンジェリスト揃いで すので、例年本格的なトークに突入してしまう事態になりがちですが、宮原氏の老練な仕切りと、皆様の 協力によりポジショントークだけで前半がうまくまとまってしまいました(笑)
ざっくり、皆様のトークを要約してみました。
工藤氏
Googleトレンドをみながら、流行を可視化しながらグローバルと日本の流行のキーワードを比較。グローバルに対し遅れ気味という日本の状況を見ながら、2020年のバズワードは5Gとデジタルトランスフォーメーションという結論。個人的なまとめとしては、サーバーレスとセキュリティが流行のピークを過ぎて本番環境への実装・運用に移行するだろうとの予想。
鈴木氏
エッジコンピューティングとセキュリティに注目。エッジコンピューティングでは、5Gの商用化とローカル5Gというサブキーワードも。セキュリティでは、IoTデバイスや自動車、そして2020年東京五輪を狙ったサイバー攻撃激化を予想しつつ、対策としてゼロトラストの流行も。私の書いたブログ記事2020年に流行るらしいゼロトラストネットワークって何?もどうぞ。
まとめとしては、クラウドが社会課題解決や実ビジネス(建築現場から金融まで幅広く)において活用が拡大すると予想しつつ、鈴木氏が個人的に注目しているのがサーキュラー・エコノミーという概念。資源効率を上げて循環型の経済モデルを作るためにテクノロジーを使うという考え方。
角氏
さくらインターネットは、25周年を迎える。デジタルトランスフォーメーションに着目している。これは、IT革命の次の段階でありあらゆるものがインターネットにつながるだけでなく、スマホが普及して常時オンラインが当たり前になっている。あると便利から、不可欠なものになって、ITが社会革新を起こす段階に。クラウドを使うのも当たり前で最終的にすべての会社がIT企業になる。しかし、デジタルトランスフォーメーション時代に対応したスキルやマインドをもったエンジニア(SRE/スクラム/DevOps/コンテナなど)が不足=増やす必要がある。そこに注目している。
ここで宮原氏からのコメント
「なんとなく、共通項としてデジタルトランスフォーメーションというのが見えてきましたね」
吉田氏
実は初期からのニフクラユーザーでした。10周年おめでとうございます(サプライズでお祝いスライドを表示)。
マイクロソフトに所属して6年目。データ活用によるデジタルトランスフォーメーション推進を支援するⅩ(クロス)インテリジェンスセンターというデジタルトランスフォーメーションに特化したチームを作った。
IPAの調査データによると、国内企業のデジタルトランスフォーメーションの現状は、業務プロセスの改善が主流であり、業務効率化による生産性の向上が目的。それは、どう考えてもおかしい。それではビジネスモデルは変わらないしポイントがずれている。企業システムの課題は、部分最適のアーキテクチャでサイロ化されたデータを統合して活用するのが難しい部分。単純なITのデジタル化=コストセンターで、デジタルトランスフォーメーションは新しい価値を生み出す源泉、すなわちバリューセンター。成功のカギは人とデータに対する二つの取り組みが必要。こういうイベントに参加したりアイデアソン・ハッカソンに参加するようなエンジニアが、重要な立場を担うようになってきて、さきほどの角氏の話ともつながるが、エンジニアにとっては追い風に感じる。
五月女氏
我々は今年サービス開始11年目を迎えたが、言ってることは最初から一貫している。ニフクラなら(VMware環境と相性のいい)柔軟なハイブリッドクラウドを実現できるということ。昨年、AWSもAzureもGCPもVMware市場を狙い始めたことで方向性が間違っていなかったことを確信。2020年は、デジタルトランスフォーメーションと言いながらも、旧来システムのモダナイゼーションが進む。現実的な塩漬けRetain(塩漬け環境をRe-PlatformやRe-archと連携させ金のなる木の維持)、クラウドの機能活用Re-Platform(単純なマイグレーションから一歩進めてPaaS/SaaS活用・活性化)、k8s等によるRe-archtect、あとはシステムの廃棄という4つの段階がある。
昨年は、東西リージョン・ゾーン間のオンデマンドL2接続が可能なプライベートブリッジという機能をリリースした。とにかく簡単なマイグレーション機能の提供を考えている。お客様DCへのニフクラ環境の設置というプライベートリージョンもスタートした。k8sについては、日本のお客様に対する最適解が見つかっていない。注目キーワードは、セキュリティ、エッジコンピューティング、データ価値化、人材育成。人材育成に関しては、人がいないのではなく、できる人がいない。各社現体制すら維持できない2025年の崖問題が顕在化するので、モダナイゼーションが必要になる。
最後に、宮原氏からも今年の予想とまとめが。
宮原氏
アジャイルの取り組みをどうしていくかと、5Gに注目している。あとは、オープンイノベーション。文脈としてはデジタルトランスフォーメーションに近い。面白いと思ったのはビッグデータ、AIとか機械学習、クラウドネイティブといったテクノロジー系のキーワードより、一つか二つ上のレイヤーの話が多いこと。共通の課題は、デジタルトランスフォーメーションをどう実現するかだが、RPAのような効率化と新しいビジネスモデルを生み出すデジタルトランスフォーメーションがごっちゃになっている。皆さんからもキーワードとして出ていた人材不足については、どういう人材が欲しいのか、定義が難しいと感じている。新しいものを何らかの形で生み出せる人?。最近の人材獲得の流れでいうと、一時期ゲーム会社が高給で採用していたけど、これ以上伸び代が無くなってきたのかさすがに落ち着いてきた。むしろ製造業や農業にIT人材が動いている。
後編に続く