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経産省のDXレポート2.1 を解説してみた!(全DXレポート総括)

こんにちは。富士通クラウドテクノロジーズの鮫島です。

テレワークが続くと、ヘッドホンとマイクの本数がどんどん増えていきませんか? f:id:sameshima_fjct:20210915173400j:plain

ところで、今回は今話題の経産省のDXレポート2.1に関する記事です。 www.meti.go.jp

まず、「DXレポート」ってなんなの?という話を軽くしておきます。

経済産業省では、日本企業のDXの推進に資する施策としてDX推進ガイドラインDX推進指標を作成しています。
中でも、「デジタルトランスフォーメーションを研究している謎の会(後で分かります)」の研究成果をまとめたとされる「DXレポート」は、毎回ショッキングかつキャッチーなキーワードを入れてくるので、IT業界のマーケッターには人気のコンテンツです。

 ・2018年 9月「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」
 ・2020年12月「DXレポート2(中間取りまとめ)」
 ・2021年 8月 「DXレポート2.1(DXレポート2追補版)」←イマココ

DXレポート2.1の背景を雑にまとめてみました

2021年9月にデジタル庁が発足しましたが(季節の挨拶です)、「DXレポート2.1(DXレポート2追補版)」が突如追補版として出された背景は、いろいろな憶測もあるようです。

YouTubeでDXレポート2.1の作者インタビューを見たところ、おおよそ下記のような意図だと感じました。雑なまとめです。

「猫も杓子もDXって雰囲気だけど、レガシーシステム運用するのも移行するのも大変なんですよ…」とこの期に及んでもぶつぶつ言っているユーザー企業もベンダー企業もいったん置いておきます。
経産省では、DXを実現しようという企業が作る新しい産業=デジタル産業と定義したので、その構想に乗ってみたい企業は大小問わずこの指と~まれって感じで、デジタルで価値創出ができる企業を個社単位ではなくデジタル産業として支援しいくための方向性を示していきたいと思っています・・・

オブラートに包まれた回りくどい表現ですが、レガシーシステムで四苦八苦している企業は後回しってことですか?

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デジタル社会とデジタル産業という概念

さて、ここからDXレポートの変遷を振り返っていきましょう。

1. 「2025年の崖」の克服(DXレポート)

このレポートは2018年9月に公開されました。
名義は「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」です。
下記は、2018年 9 月に公開された「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」に掲載された2025年の崖の概念図です。
落ちるイメージですね!

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引用元:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~(総務省)

DXを実現するためには、レガシーシステムを可及的速やかに捨ててください! そのままだと2025年には年間12兆円の損失がでて、日本経済は完全に競争力を失いますよ? という警鐘が高らかに鳴り響きました。

重要な用語:2025年の崖、レガシーシステム、ITシステム刷新、DX人材

もちろん、弊社でも下記のようなeBOOKを作成するなどして、クラウドへの移行促進に活用させていただきました。

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2025年の崖を超えるためのeBOOKを公開しています。
「ハイブリッドクラウド」の作り方~ 「2025年の崖」を超えるための ITロードマップ ~

2. IT化はDXではない(DXレポート2)

続いて、コロナ禍まっただなかの2012年12月に公開されたのが「DXレポート 2中間取りまとめ」です。
名義は「デジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会」です。

ん?「加速」していますね…。

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引用元:DXレポート2(総務省)

「DXレポート」から2年が経過し、コロナ禍によって官民問わないDX以前のレベルといえるIT化の遅れが顕在化したことも踏まえ、DXの緊急性の高まり(2025年の崖が前倒し)と、単なるIT化と誤解されたDXの本質(企業文化の変革)及び、企業・政府の取るべきアクションをリマインドした内容と言えます。

本文中では「DX=レガシーシステム刷新ではない」というパワーワードで、レガシー脱却だけで安心して変革を行わなければいずれデジタル競争の敗者になることが述べられています。

また、DX阻害要因といえる「日本特有のベンダー企業とユーザー企業の特殊な関係」を変えていく必要性があるといいつつ、進化した関係をソフトにオブラートにくるんだ表現「受託から共創共育へ」と表現しています。

重要な用語:レガシー企業文化からの脱却、共創

3. DX=デジタル産業化(DXレポート2.1)

ようやく、本題の「DXレポート2.1」に入ります。 基本的にはDXレポート2を補完する内容という位置づけです。
名義は、「デジタル産業の創出に向けた研究会」にトランスフォームしています。

DXレポート2では、ベンダー企業(SIer)とユーザー企業の特殊な関係をDX阻害要因としつつも、「共創」というソフトランディングが提示されていました。

DXレポート2.1では一転して下記のように強いメッセージが発せられています。

ユーザー企業とベンダー企業の垣根が無くなっていく姿が産業の将来像であるとしたとき、こうした産業の創出を遠い未来のこととしたうえで、「ユーザー企業とベンダー企業の共創」を議論していては、双方が変革の足枷となっている相互依存関係を脱することはできないと考えられる。
引用元:経済産業省の「DXレポート2.1」ニュースリリースより

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相互依存関係を続けることで低位安定でデジタル競争の敗者に

平易な表現を行ってみます。

●ユーザー企業
ベンダー企業(SIer)への丸投げ体質から脱却しない限り、DXを推進するのは無理で、デジタル競争の敗者になる。

●ベンダー企業
ベンダー企業(SIer)は、多重下請け構造に代表される人月商売で受託を維持する限り、DXを推進する提案もできず、デジタル競争の敗者になる。

正論では?

という感想ですが、この問題には双方のジレンマが生じます。

ユーザー企業は、SIer丸投げ体質から脱却するには、事業分野に関する開発を内製化せざるを得ませんが、そんなハイスキルIT人材が今このご時世でそうやすやすと獲得できるのか?という現実的な問題があります。

ベンダー企業は、ユーザー企業の内製化を支援するための人材や技術力はある程度確保できるかもしれませんが、受託型ビジネスと比べて売上規模が小さいうえに、ユーザー企業の内製化が進むとベンダー企業は徐々に不要になっていきます。

八方塞がりです

この状況から脱却する方法は・・・

具体的に示されていません!

この低位安定の構造を認識して自ら脱する方策を検討しろ、そのためには企業経営者のビジョンとコミットメントが必要 不可欠。と書いてあるのみでした。

それにつながるのが、冒頭の「雑なまとめ」の内容です。
この問題は根深いので、出来るところを先にやろうか?ってことになったように感じます。

デジタル企業とデジタル産業

経産省のこの指にとまった企業は、デジタル産業を構成する4類型に当てはまるとされています。

1.企業の変革を共に推進するパートナー
2.DXに必要な技術を提供するパートナー
3.共通プラットフォームの提供主体
4.新ビジネス・サービスの提供主体

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この指にとまれなかった企業のDXを支援する企業も一応あります

これらの企業は、デジタルケイパビリティを活用して他社や顧客とつながることで価値創出を図っていきます。 いずれ、それらの成功パターンをまとめて、事例を抽象化し、企業が再利用しやすい形でとりまとめる予定だそうです。

この後、デジタル庁などがどのような動きをするのか見ていきたいですね!

国産クラウドベンダーが提供できる価値とは?

ニフクラを提供している、弊社がデジタル産業を構成する4類型に参戦するには?

一番簡単なのは、共通プラットフォームの提供主体になることです。
とはいえ、すでにメガクラウドという巨大な壁が立ちはだかっているのは皆さんもご存じと思います。

しかし、メガクラウドといえどユーザー企業が内製で活用できているわけではなく、多くはベンダー企業との「相互依存関係」を維持したまま利用されているのが現実です。

そして、相互依存関係を解消するきっかけになるのはマルチクラウドだと考えています。

メガクラウドは、障害の発生が社会インフラの運用に多大な影響を与えるほどの基盤として浸透しつつあります。
障害の発生と停止時間はSLAの範囲内であり、それを理解した上で使うというグローバルスタンダードが残念ながら日本では通用しません。

そこで、多くのケースでベンダー企業が責任を追及されてしまうところが「相互依存関係」の持つ問題点だと思います。

ベンダー企業側もリスク分散の手段として、「マルチクラウド」を提案するケースが増加傾向にあります。 しかし、「相互依存関係」を続けたままの「マルチクラウド」は、本質的な問題解決になりません。

「外資クラウドA+外資クラウドG」or「外資クラウドM+外資クラウドG」
のような組み合わせでマルチクラウドを選択するケースが多いと聞いています。

ここで
「外資クラウドA+ニフクラ」「外資クラウドG+ニフクラ国産クラウド」
のような組み合せを検討してはいかがでしょうか?

豊富な最新の機能を低コストで利用できる外資クラウドは確かに魅力がありますが、ハイスキルのエンジニアを採用して内製化するハードルは限りなく高いのです。

可用性が高く従来のオンプレミスと地続きにある技術で運用ができる、VMware vSphere基盤のニフクラを「マルチクラウド」の片方として選択することで、徐々にユーザー企業は「相互依存関係」から脱し、内製化を進められる可能性があります。 少しづつクラウドの活用に慣れていき、DevOpsを実践したり、コンテナ実行基盤であるKubernetes Service Hatobaによってクラウドネイティブな環境へシフトしていく道筋もご用意しています。

9月に発足したデジタル庁のビジョンを覚えていますか?

誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化を。

ニフクラは、レガシーシステムと悪戦苦闘している人も含めデジタル産業へ進む企業を支援します。

まずは、国産クラウドであるニフクラがどのようなものか知っていただくためにeBOOKをご用意しています。

無料eBook「オンプレミスから クラウドへ踏み出すための5 つのステップ」

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長いのでPodcastの音声版もご用意しました。

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