こんにちは。 ニフクラエンジニアミートアップ事務局の鮫島です。
2021年8月25日(水)に第40回 ニフクラエンジニアミートアップを開催しました。
今回は、「2021夏の納涼クラウド祭り!識者が語るクラウド業界最新動向」と題して、2021年上半期のクラウド業界動向をクラウドベンダー各社の識者に語っていただく座談会でした。
今回の登壇者
・工藤 淳氏(アイレット株式会社:Amazon Web Servicesパートナー)
・鈴木 与一氏(NTTコミュニケーションズ株式会社)
・横田 真俊氏(さくらインターネット株式会社)
・吉田 雄哉氏(日本マイクロソフト株式会社@あくまで個人の立場)
・五月女 雄一氏(富士通クラウドテクノロジーズ株式会社)
・宮原 徹氏(日本仮想化技術株式会社・司会)
要するに、前回2020年9月開催時の面々が再び集結して、前回同様ハイテンションなトークが繰り広げられました。
おかげさまで、当日は深夜2時過ぎまで4次会が行われるほど大盛況でした。
ありがとうございました。
- クラウド業界ビッグニュース5:さくらインターネット 横田真俊氏(08:10~)
- シフトとマルチクラウド:アイレット 工藤淳氏(19:05~)
- カーボンニュートラル:NTTコミュニケーションズ 鈴木与一氏(36:16~)
- えんたーぷらいず/日本マイクロソフト 吉田雄哉氏(50:34~)
- 2021年前半に感じた事/富士通クラウドテクノロジーズ 五月女雄一(1:00:01~)
- QAセッション そして4次会まで
今回も、座談会の模様はすべてYouTubeで動画として公開してあります。
チャプターも入れてありますので興味があるテーマを選んでご覧ください。
クラウド業界ビッグニュース5:さくらインターネット 横田真俊氏(08:10~)
フィットボクシングでさらに健康増進中というさくらインターネットの横田真俊氏は、2021年上半期のクラウド業界を騒がせた5大ニュースをランキング形式でご紹介くださいました。
「ああ、それあったね」的ニュースも多くチョイスされていて、序盤をハイテンションに盛り上げます。
特に3位の「IaaS以外のクラウドサービスの障害」というニュースは、発生した経緯や原因はさまざまですが、結果的にIT業界以外の一般のビジネスシーンに「未知のクラウドサービス」を知らしめたという点が共通項と言えます。
基盤となるIaaSの障害がSaaSに影響を及ぼす可能性は容易に想像できますが、SaaSが予想以上のスピードでビジネスインフラとして浸透したことで、影響が可視化されやすくなったのではないか?と感じました。
全部解説すると面白くないので、ぜひYouTube動画でランキングをご確認ください。
最後に話された横田氏の「独断と偏見で選ぶ下半期の傾向」がまとめにふさわしい内容でした。
Tech VS 国家というテーマは、一国のGDPを上回るほどの売り上げを叩き出すBig Techを規制する欧米諸国の動きに代表される話ですが、競合する日本のTech企業に勤務する身としては気になる部分です。しかし、一個人としてはその恩恵を存分に享受しているという矛盾もあります。
社会インフラ化して市場を寡占し、価格を自在にコントロールできるとしたら、BigTechって実はけっこう恐い存在ですね(小並感)。
シフトとマルチクラウド:アイレット 工藤淳氏(19:05~)
続いて、AWSの日本における代表的なパートナーの一つであるアイレットの工藤淳氏が、個人的な興味として、FHIR(Fast Healthcare Interoperability Resources)という新しいキーワードを投下しました。 これは、電子保険医療情報の相互運用性の規格で、すでに米英では普及フェーズに入っているようです。
GDPRもそうですが、個人情報の保護を前提として一定のプロトコルに従うことで、データの相互運用を可能にするという動きは様々な分野で広がっていくということでしょうか。
続いて、ビジネス的観点での興味ワードに話が移ります。
リフト&シフトは、ここ数年のクラウド業界における大きな動きの一つですが、最近はシフトの動きが活発化してきたとのこと。
つまり、クラウドに移行した後に「最適化」図るために、手っ取り早くSaaSやPaaSを利用したり、サーバーレスやコンテナを活用することでDX推進を最短距離で実現しようという企業が増加しているのだと思います。
また、マルチクラウドが本格化して、SIerとしてもAWSだけでは立ち行かなくなり、GCPもしくはAzureなども同時に扱う企業が殆どなのだそうです。
そこでもやはり、人材不足の問題は生じているようで、AWSの資格を持つ「即戦力」人材は獲得困難になっているようです。
人材不足についてはその後も話題に上ってくるホットなテーマです。
カーボンニュートラル:NTTコミュニケーションズ 鈴木与一氏(36:16~)
前回の座談会の「サーキュラーエコノミー」に続いて、今回は「カーボンニュートラル」がテーマでした。 環境問題や社会的課題をどうやってITで解決するか?という切り口は、前回と連続性があります。
日本では、2020年に菅義偉内閣総理大臣が2050年までにカーボンニュートラルを実現するというチャレンジングな宣言を行いましたが、徐々に企業間の取引条件として、カーボンニュートラルへの対応を必須とする動きも増えているようです。
重要なのは、自社だけがカーボンニュートラルを目指せば良いわけではなく、サプライチェーンにもそれが求められる点です。
社会全体で取り組まなければ、単にどこかにしわ寄せが生じたり負荷がかかり、実現が遠のいてしまいます。
これからは、カーボンニュートラルはもちろん、サスティナブルな世界を目指すSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みが、日本でも加速していくと思われます。
えんたーぷらいず/日本マイクロソフト 吉田雄哉氏(50:34~)
あくまで、個人としての立場でやってきたという前置きで、エンタープライズ界隈における業界動向を語ってくださいました。※鈴木氏同様にまじめ枠とのこと。
昨年のバズワード的な扱いから抜け出して地に足のついたDX案件が出始めたとのこと。
ローコード/ノーコードに関しては、何十年もお付き合いのあるSIerさんがあまりいい提案をしてくれないのに痺れをきらして、内製化する動きが活性化したり、エンタープライズでコンテナを活用する例も増えて、よりDX的というかクラウドネイティブな世界に進む企業が増えてきているようです。
もう一つ注目したいのが「DX人材」です。
「DX人材をつくって行きたい」(吉田氏いわく…人造人間か?)
といったことを語る企業が後を絶たないようです。
しかしながら、その人材像が何かというと結局はビジネスのこともシステムのことも理解できる「フルスタッカブルな人材」であり、エンジニアであってもビジネスのことを話せる必要性が増していることから、結果的には吉田氏自身のキャリアプランにも影響が出てきているとのことです。
ちなみに、「フルスタックエンジニア」についてはネット上でもさまざまな意見があるので、興味がある人は検索してください。
2021年前半に感じた事/富士通クラウドテクノロジーズ 五月女雄一(1:00:01~)
最後に、弊社のプリンシパルエンジニアである五月女雄一がトリを務めました。
「しゃべりたかったことをほとんど言われてしまった!」と苦笑いをしつつも、2021年前半の商談で増えてきたことを語ってくれました。
「DevOps[SRE]をやりたいがどうすれば?」的な問い合わせが増えている状況、そして基幹システムの運用を止めてSaaS/PaaSへ切り替えるという分野が増えているようで、これはつまるところ「人材不足」「レガシーシステムの弊害」といったことが原因で「運用が回らなくなってきているのではないか?」という分析をしていました。
運用が回らなくなってきたというネガティブな理由から、解決策として「「DevOps[SRE]」を求めるというのは確かに不健全な状況しか浮かんできません。
モデレーターの宮原氏が嬉しそうに「生々しい話ですね~」とコメントしていましたが、日本におけるDXの課題「2025年の崖問題」が前倒しになってしまったことがうかがえる内容でした。
ここまでの動画は、こちらでご覧いただけます。
QAセッション そして4次会まで
皆様からSlidoに寄せられたご意見・質問に答えるというQAセッションは、5人のトークで予定の時間をほぼ使い切ってしまいましたので、二次会として開催されました。
最終的に、二次会はすべてのQAをクリアして22時頃まで続きました。
※収録していませんが、3次会、4次会が延々2時頃まで行われました。
実際に寄せられた質問はこのような感じです。
・どうやったら面白い人になれる?
・求められるIT人材/DX人材とは?
・20年前の恐ろしい体験(アイレットの後藤和貴氏も参戦)
・エンタープライズ案件でコード納品するとハマる?
・業務の属人化はDX推進を阻害するのか?
・リモートワーク率が低い問題
・tesla社の大型蓄電装置MegapackはDCで使えるのか?
・MEC(エッジコンピューティング文脈)は「来る」のか?
これらのお題に対して皆さんで寄ってたかって答えるという流れでした。
前半の座談会でも、各々のパートでかなりIT人材・DX人材の話がでましたが、人材の話は終わりがないというか根が深い問題をはらんでいるように思います。 詳しくは、二次会をほぼ完全収録した動画でご確認ください。
前半の動画 youtu.be 二次会の動画 youtu.be
今回もかなり遅い時間までYouTube視聴も含めたくさんの方が残ってくださいました。 本当にありがとうございました。
次回の座談会はおそらく来年になると思いますが、お楽しみに。