前回はZabbix 3.0のインストールを行いましたが、監視対象がまだZabbixサーバー自身しか登録されていません。また、障害発生時の通知設定なども行われていません。
そこで今回は、Zabbixサーバーの基本的な設定と、LinuxサーバーにZabbixエージェントをインストールして監視を設定します。
付け替えIPアドレスを用意
サーバーの監視をする際に、IPアドレスが変わってしまうと監視対象から外れてしまいます。
監視対象のIPアドレスが変更されないように、付け替えIPアドレスを用意して、それぞれのサーバーに対して割り当てることにします。
今回は、以下のようにサーバーを配置します。
リージョン | サーバー | アドレス数 |
---|---|---|
east-2 | Zabbixサーバー | 1 |
east-3 | Linuxホスト、Windowsホスト | 2 |
付け替えIPアドレスはゾーン毎に5つまで追加することができます。 今回はリージョン間で監視を行うので、グローバル側のIPアドレスを追加します。
追加する際に目的別にメモを記入しておくと良いでしょう。 また、Zabbixエージェントの設定時、Zabbixサーバーへの監視ホスト追加時に必要になるので、参照できるようにしておきましょう。
Zabbixサーバーに付け替えIPアドレスをつける
構築したZabbixサーバーのIPアドレスを付け替えます。 IPアドレス時にサーバーの再起動が必要になるので、事前に一旦、OSをシャットダウンして、サーバーを停止しておくと良いでしょう。
ニフティクラウドのコントロールパネルから付け替えたいIPアドレスを選択し、操作メニューから「サーバーにつける」を選択します。
IPアドレスを付け替えたいサーバーを選択します。
サーバーが停止しているのであれば、再起動方法は「再起動しない」に変更しておき、「確認へ」ボタンをクリックします。
確認画面で内容を確認したら、「サーバーにつける」をクリックします。
サーバーのステータスが「処理中」から「停止」に変わったら、サーバーを起動します。
以後、サーバーには指定した付け替えIPアドレスが自動的に設定されるようになります。
Linuxホストを準備
監視対象となるLinuxホストを作成します。 OSは、CentOS 7.1。 ネットワーク設定でグローバルに付け替えIPアドレスを指定して、Linuxサーバーを作成します。
サーバー起動後、SSHで接続し、アップデートを行います。
sudo yum update -y
sudo reboot
ZabbixのYumリポジトリを登録します。
sudo rpm -ivh http://repo.zabbix.com/zabbix/3.0/rhel/7/x86_64/zabbix-release-3.0-1.el7.noarch.rpm
Zabbixエージェントのパッケージをインストールします。
sudo yum install zabbix-agent -y
Zabbixエージェントの設定を修正します。
sudo vi /etc/zabbix/zabbix_agentd.conf
以下は修正する項目です。
設定項目 | 設定値 |
---|---|
SourceIP | Linuxホストの付け替えIPアドレス |
EnableRemoteCommands | 1(お好みで設定) |
LogRemoteCommands | 1(お好みで設定) |
Server | Zabbixサーバーの付け替えIPアドレス |
ServerActive | Zabbixサーバーの付け替えIPアドレス |
Hostname | LinuxHost(ホスト登録時に同じ名前で登録が必要) |
Zabbixエージェントの起動と有効化を行います。
sudo systemctl start zabbix-agent
sudo systemctl enable zabbix-agent
Linuxホストの登録
ZabbixのWeb管理画面にログインし、Linuxホストを登録します。
- 「設定」→「ホスト」を選択
- 「ホストの作成」をクリック
- 以下の項目を設定
設定項目 | 設定値 |
---|---|
ホスト名 | LinuxHost(zabbix_agentd.confでHostnameに指定した名前と同じ名前を指定) |
表示名 | Web管理画面に表示される名前。ホスト名と同じでよい |
グループ | 「Linux servers」を選択し、「?」をクリック |
エージェントのインターフェース | Linuxホストの付け替えIPアドレスを指定 |
テンプレートの紐付けもしておきます。 テンプレートを紐付けしておくと、自動的に監視項目などが設定されます。
- 「テンプレート」タブをクリック
- 「新規テンプレートをリンク」に「Linux」と入力して検索
- 「Template OS Linux」を選択
- 「追加」リンクをクリック(間違えて下の「追加」ボタンを押さないように注意)
- 「テンプレートとのリンク」に「Template OS Linux」が追加される
- 「追加」ボタンをクリックして、ホスト登録を完了
- ホストが登録されたことを確認します。
※スクリーンショットは、Windowsホストも登録された状態です。
通知送信用メールアドレスの設定
障害などが発生した際に、管理者にメールを送信するように設定します。 設定は以下の手順で行います。
- メール送信テスト
- Emailメディアを設定
- Adminユーザーにメールアドレスを設定
- アクションを有効化
- 障害発生時のメール通知のテスト
- 障害復旧時のメール通知のテスト
メール送信テスト
今回は、Zabbixサーバー自身で動作している、Postfixを送信用サーバーとして使用します。
Zabbixサーバーにログインして、通知を受け取りたいメールアドレス宛にメールが送信できるか、mailコマンドでテストします。
送信先メールアドレスはご自身の環境のメールアドレスに読み替えてください。
sudo -u mail user@example.com
正しくメールが受け取れたら次に進みます。 もし、メールがうまく届かない場合には、ログファイル「/var/log/maillog」を確認してください。
Emailメディアを設定する
Email送信時のSMTPサーバーや送信元アドレスを設定します。 Zabbixでは「メディア」として扱われています。
注意:送信元メールアドレスはご自身の環境のメールアドレスに読み替えてください。
- 「管理」→「メディアタイプ」を選択
- 「Email」をクリック
- 以下の設定を行います。
設定項目 | 設定値 |
---|---|
SMTPサーバー | localhost |
SMTP helo | localhost |
送信元メールアドレス | admin@example.com |
Adminユーザーにメールアドレスを設定する
ZabbixのAdminユーザーにメールアドレスを設定しておきます。
- 「管理」→「ユーザー」を選択
- 「Admin」をクリック
- 「メディア」タブを選択
- 「追加」リンクをクリック
- 別ウインドウが開くので、タイプが「Email」であることを確認
- 送信先に通知を受け取るメールアドレスを入力
- 「追加」ボタンをクリック
- 「更新」ボタンをクリック
アクションを有効にする
障害が発生した時のアクションを有効にします。
- 「設定」→「アクション」を選択
- 「Report problems to Zabbix administrators」のステータスの「無効」をクリックして有効に変更
障害発生時のメール通知のテスト
障害発生時に通知メールが送信されるかテストします。 監視対象であるLinuxホストのZabbixエージェントを停止して、擬似的に障害を発生させます。
- Linuxホストにログイン
- Zabbixエージェントを停止
sudo systemctl stop zabbix-agent
5分ほど待って、メールが届くことを確認します。
以下のようなメールが届けば、監視および通知は正常に機能しています。
題名:PROBLEM: Zabbix agent on LinuxHost is unreachable for 5 minutes
Trigger: Zabbix agent on LinuxHost is unreachable for 5 minutes
Trigger status: PROBLEM
Trigger severity: Average
Trigger URL:
Item values:
- Agent ping (LinuxHost:agent.ping): Up (1)
- UNKNOWN (UNKNOWN:UNKNOWN): UNKNOWN
- UNKNOWN (UNKNOWN:UNKNOWN): UNKNOWN
Original event ID: 259
障害復旧時のメール通知のテスト
Zabbixエージェントを再度起動すると、以下のメールが届きます。
sudo systemctl start zabbix-agent
題名:OK: Zabbix agent on LinuxHost is unreachable for 5 minutes
Trigger: Zabbix agent on LinuxHost is unreachable for 5 minutes
Trigger status: OK
Trigger severity: Average
Trigger URL:
Item values:
- Agent ping (LinuxHost:agent.ping): Up (1)
- UNKNOWN (UNKNOWN:UNKNOWN): UNKNOWN
- UNKNOWN (UNKNOWN:UNKNOWN): UNKNOWN
Original event ID: 259
これで、Zabbixサーバーの基本設定およびLinuxホストの監視対象設定は完了です。 次回は、Windowsホストの監視対象設定を行います。