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複数NIC構成のサーバーをAcronis Cyber Protectでバックアップ / リストアしてみた(Rocky Linux編)

こんにちは、CRE部 技術支援チームです。

以前検証を実施した、「複数NIC構成のサーバーをAcronis Cyber Protectでバックアップ / リストアしてみた(Windows Server編)」では、追加NICを付与した状態で、バックアップ/セキュリティサービス(Acronis Cyber Protect Cloud)(以下:Acronis)でバックアップ / リストアを行っても、IPアドレスを維持されることを確認しました。

しかし、Linuxでも同じことができるのでしょうか?

今回は、Rocky Linuxで作成したニフクラの仮想サーバーに追加NICを付与した状態で、Acronisを使用してバックアップ / リストアを行ったらどうなるのか(そのままの構成が再現できるか)を検証してみました!

構成イメージ

前提条件

本ブログは、以下の前提知識がある方を想定しています。

  • ニフクラの基本的なコントロールパネルの操作、サービスを利用に関する知識
  • Linuxの基本的な操作、設定に関する知識

想定シーン

  • 通常時、追加NIC付きの仮想サーバー(Linux)のバックアップを、Acronisで行っている
  • 保存先はAcronis Cloudを利用している
  • 追加NIC付きの仮想サーバー(Linux)に障害が起き、サーバーが停止した
  • 復旧作業として、Acronis Cloudのバックアップストレージから仮想サーバーのリストアを行う

構成詳細

検証条件

項目 内容
利用ゾーン east-13
プライベートLAN あり(2本)
ルーター router.small×1(SNAT用)
サーバータイプ c-medium8×2
(バックアップ用サーバー、リストア用サーバーで1台ずつ)
OS Rocky Linux 8.5
追加NIC あり
(バックアップ用サーバー、リストア用サーバーで合計2個)
バックアップサービス バックアップ/セキュリティサービス
(Acronis Cyber Protect Cloud)

その他設定情報

項目 内容
ホスト名 RL85001(バックアップ元)
RL85002(リストア先)
PLAN1
ネットワークアドレス
192.168.1.0/24
PLAN2
ネットワークアドレス
192.168.2.0/24
RL85001
IPアドレス
192.168.1.2(PLAN1)
192.168.2.2(PLAN2 ※追加NIC)
RL85002
IPアドレス
192.168.1.3(PLAN1)
192.168.2.3(PLAN2 ※追加NIC)
デフォルトゲートウェイ
※ルーターのPLAN1側のIPアドレスを、RL85001とRL85002のデフォルトゲートウェイとして設定
192.168.1.31

検証環境

検証方法について

以下の手順で検証を行います。

  1. プライベートLANの作成
  2. IPアドレスなしの状態で仮想サーバーを2台作成
    (ホスト名:RL85001、 RL85002)
  3. IPアドレスなしの状態で追加NICを作成し、RL85001とRL85002それぞれに付与
  4. OS上から、各NICにStaticでプライベートIPアドレスを割り当てる
  5. RL85001、RL85002両方のifconfigを取得する(データリカバリ成功を確認するため)
  6. AcronisエージェントをRL85001にインストール
  7. Acronisのコンソールより「マシン全体」でRL85001のバックアップを行う
  8. ブータブルメディアを利用し、RL85002へリストアを行う
  9. RL85002のifconfigを再取得し、リストア前と比較して、どのような結果になっているのかを確認する
    ※リストア後にRL85001のIPアドレスが引き継がれていた場合、リストア成功とする

検証の実施

1. プライベートLANの作成

こちらのドキュメントを参考に作成します。

PVLAN1,2の二つを作成します。

2. サーバーの作成

こちらのドキュメントを参考に作成します。

今回は「Rocky Linux 8.5」で作成し、プライベート側のNICを「PVLAN1」に接続しておきます。

3. 追加NICの作成

こちらのドキュメントを参考に作成します。

接続先は、PLAN2 とします。

その後、こちらのドキュメントを参考に、各サーバーに付与します。

4. IPの付与

OS上から、各NICへIPを付与します。

一般的な作業のため、手順については省略します。

5. バックアップ前のifconfigの確認

RL85001

RL85002

6. Acronisのインストール

Acronis社のドキュメント (※リンク先は他社のサイトとなります) を参考に、エージェントを導入します。

7. バックアップ取得

Acronisのコンソール画面から「マシン全体」でRL85001のバックアップを取得します。

8. リストア

バックアップ元である RL85001を停止させた後、RL85002にAcronisのブータブルメディアをマウントしリストアを行います。 なお、注意点として、 サーバーのIPアドレスをStaticで振った場合ブータブルメディア側でも手動で設定が必要となるため、「ネットワーク設定」でリストア先であるRL85002のIPアドレス・デフォルトゲートウェイ・DNSサーバーの情報を入力してください。

9. 確認

リカバリ先の「RL85002」のコンソールからログインし、ifconfigを取得します。

結果

RL85002のコンソールを起動すると、ユーザー名の入力部分に「RL85001」と表示されていることが確認できます。

バックアップ元のネットワーク設定がリストア後どのようになっているかを確認するため、リストアを行ったRL8502(中身はRL85001)とリストア前のRL85001のNICの情報を確認してみます。


リストアを行ったRL85002(中身はRL85001)と、バックアップ実施前のRL85001のifconfigの比較

Windowsでの検証と同様、もともとのNICの紐付けのまま、IPアドレスが復元されています。

以上の結果から、Linux利用時でもIPアドレスの順番が入れ替わることなく復元が実施できることが確認できました。

まとめ

今回は追加NICがついている仮想サーバー(Linux)について、Acronisによるバックアップ/リカバリが与えるネットワーク観点での影響を確認しました。

結果、追加NICのある仮想サーバー(Linux)のバックアップ/リストアをAcronisで行っても、IPアドレスの入れ替えが発生しないことが確認できました。

これにより、本検証構成の場合、Windowsと同様に復元作業後にIPアドレスの付与し直しなどの作業を行わずにサーバーの利用を開始することができますので、復元後の作業内容を簡単にすることが期待できます。

ここまで読んでいただきありがとうございました!

注意事項

  • 今回は利用していませんが、グローバルネットワークに接続されているNICのIPを固定する場合は、付替IPサービス、マルチIPサービスの利用をご検討ください。
  • 本記事で記載した各サービス/ニフクラの機能等は、2022年9月時点の情報です。ご利用の際は、各サービスの最新情報をご確認ください。
  • 本記事については検証結果の一つとなります。実際に構成を検討されるときは、それぞれの要件を鑑みて十分に検証を実施してください。
  • 本記事ではOS上の操作についても記載していますが、ニフクラではOS以上はご利用者様の責任範囲となりますのでご留意ください。