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【レポート前編】第13回ニフクラ エンジニア ミートアップ「座談会 どうする?どうなる?2019年のクラウド業界 」

こんにちは。 ニフクラエンジニアミートアップ事務局の鮫島です。

2月27日に、第13回ニフクラエンジニアミートアップを開催しました。 今回は特別企画ということで、
座談会「どうする?どうなる?2019年のクラウド業界」
と題して、クラウド業界の識者を集めて今年のクラウド業界のトレンド・動向を語っていただきました。 f:id:sameshima_fjct:20190315110711j:plain

登壇者は、下記の通り錚々たるメンバーが集まり、各人マイクを取るのも忘れて地声で語り始めるほど熱いトークの応酬が繰り広げられました。
※今回は、まい泉のカツサンド&助六というスペシャルフードが配布されたため、登壇者も食べながらしゃべるという面白い光景が見られました。

f:id:sameshima_fjct:20190315112528j:plain まい泉カツサンド&助六

・工藤 淳氏(アイレット株式会社)
・鈴木 与一氏(NTTコミュニケーションズ株式会社)
・横田 真俊氏(さくらインターネット株式会社)
・吉田 雄哉氏(日本マイクロソフト株式会社)
・五月女 雄一氏(富士通クラウドテクノロジーズ株式会社)
・宮原 徹氏(日本仮想化技術株式会社・司会)
※以降●●氏と省略させていただきます。

各自の自己紹介を終えると、さっそく司会の宮原氏から、
「最近のクラウド業界をどう見ているか」
というお題(大喜利的に)が提示されました。

f:id:sameshima_fjct:20190315133420j:plain 熱いトークを繰り広げる登壇者の皆さん

五月女氏:
大手のゲーム基盤の案件規模が巨大化したこともあり、エンタープライズ案件のように要件が厳しくなっています。一方で、以前は「クラウドなんて…」と言われてきたエンタープライズの利用者の方が柔軟になっているという「逆転現象」が起きています。」という話が披露されました。 さらに「クラウドorオンプレではなくクラウドandオンプレになってきました。ハイブリッドクラウドって昔はちょっと恥ずかしい(クラウドファースト的観点から)という雰囲気がありました。(これに対し、他の登壇者や会場からほぉ~?という声が…)

横田氏:
さくらのVPSのユーザーは9.5万VMくらい。ちなみに日本のITエンジニアは85万人くらい居ます。ということは、当社のVPSは1割が使っていることになります(笑)ユーザーは45万弱で、半分くらいがWordpressを使っています。個人のユーザーさんでもそういうのを使うようになってきているのでクラウドのすそ野は広がっていますね。

吉田氏:
クラウド黎明期は本当に機能もシンプルで出来ないことも多かったのですが、現在はサービスが多様化しています。昔はIaaSにセットアップしていたものが、今では、ほとんどクラウドサービスで用意されています。ただ、学習が追いつかなくて使いこなせず、IaaSから抜け出せない人がいます。当社で、グローバルでのクラウド利用者の傾向がわかるのですが、利用料金の上昇を表す「Jカーブ」というのがあり、クラウドの利用料金では、一定レベルの上昇でJカーブが止まるケースとそのままJカーブが跳ね上がるケースが見られます。クラウドの利用に関するルール化・統制がしっかりしている企業ほどJカーブが跳ね上がる(使用量が増える)傾向があります。

鈴木氏:
「今感じているのは、クラウドとかIaaSというよりお客さんがやりたいことにサービスが近づいていることです。あと、歴史は繰り返すといいますか、集中と分散(過去のメインフレームからPCへの流れ)というのがあって、今はクラウドが主流になっているけど、5Gがでてエッジががでています。また、お客さんはサーバーが欲しいわけではなく、やりたいことを実現できる環境がたまたまサーバーであって、なるべく自社の運用が無いほうがいいということからクラウド(SaaSとかPaaS)を選択しています。また、安いネットワークを使うとお客さんがデータをあげたがるのですが、だんだん物足りなくなる(速度的に)と、エッジにサーバーのようなものをおいたりするようになります。」 f:id:sameshima_fjct:20190315135105j:plain NTTコミュニケーションズ 鈴木氏

工藤氏:
「現場に居て感じるのはエンタープライズ(以降エンプラ)のお客さんが増えていることです。エンプラ環境をそのまま「リフト(移行)」する案件が増加しているが、移行したままレガシー化して動かないお客さんも多いです。ただ、それを超えたお客さんはサーバーレスやコンテナといったクラウドネイティブな世界に行きます。新しいお客さん(クラウドネイティブな発想の)だと、最初からそれを見越して移行してくるケースも増えています。そういうお客さんのほうが将来性がありますし、こちらもやりやすい。それでもオンプレから移行できないケースもあるし躊躇するお客さんもまだ多いです。官公庁のお客さんが増えているのは、「クラウド・バイ・デフォルト原則」がだされたせいもあるが入札が増えています。」

ここで
「官公庁・公共系」案件が各社ともに増えているという話」
に発展しましたが、 吉田氏から「政府CIOって検索してもらえます?」という要望があり、政府CIOのサイトがスクリーンに映し出されます。

f:id:sameshima_fjct:20190315141924j:plain そして、標準ガイドライン cio.go.jp

の中にある「政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針」

に関する解説が入り「クラウド・バイ・デフォルト原則」により、「官公庁・公共系」のクラウド移行案件が増加している背景が説明されました。

f:id:sameshima_fjct:20190315132541j:plain クラウド・バイ・デフォルト原則について語る吉田氏

「ガイドラインなのになぜかコラムがあるんです」というコメントに会場で爆笑が起きていましたが、実際のところ吉田氏が実際の執筆者から 聞いた裏話として「ガイドラインだけだと従わないのでちゃんと勉強してもらえるようにコラムをわざわざ入れた」というのも披露されました。 クラウドバイデフォルトに関しては、こちら(クラウドナビ)もご覧ください。

次に、宮原氏から出されたのは
「サーバーレスとかコンテナってどうです?」
というお題。

宮原氏:
リフト&シフトに関しては、新しい案件はレガシーからのマイグレーションの時に、リフト&シフトは無理でもう再構築しなければダメだよねという動きもでています。3年前くらいから、私はDevOpsって言っているんですけど、やっと今年度くらいから来たかなと感じています。そこでサーバーレス・マイクロサービスアーキテクチャ・Kubernetesとかで再構築する動きがあります。 ちょうど10年モノのマイグレーションの話が来ていて、大量の例外処理が動いて実質7割が使われていないようなレガシーシステムを、マイクロサービスアーキテクチャに置き換えながら再構築するようなことをやっているのですが、置き換えられない部分もあり、レガシーとのつなぎ込みが発生したり大変なんですよ。クラウドは一般的になっても使う側がレガシーだとダメです。使っている人が変わらないと。

吉田氏:
DecOpsとマイクロサービスは親和性があるんですよ。リフト&シフトでマイグレーションしましょうといっているものは大きく2つあって、1つはシステムそのもの、もう一つは運用とか周りの人や仕組みも含めたもの。DevOpsはシステムじゃない文化的な側面があります。人間が変わらずにただリフト&シフトすると、クラウドを使ってるのに、レガシー感のある運用になってしまいます。そこを変える気があるかないかでその後の展開が大きく変わります。

宮原氏:
リフト&シフトがそろそろ限界になっている?

後編に続く